Platinum Kingdom【完全完結】
そして、その料亭の中に入って行った。
…すごい。
「…素晴らしい日本庭園…」
ものの見事に凄い、日本庭園がそこにはあった。
松だって綺麗に整えられていて、
季節に合った花があって。
…こんなに見事な日本庭園はそうないと思うほど。
あ、あの桜の木…。
「あの桜の木、すごく何だか惹かれる…」
そう呟くほど。
何か、感じるものがあった。
そして何か、あの桜には引き込まれるものがあった。
「…この桜の木はね、元々は本家に植えてあったものなのですよ」
「本家に…?」
桜の木が、本家にあっただなんて初めて聞いた。
松や普通の広葉樹はあるけれど、桜の木は本家にはない。
「…あれはソメイヨシノ。
…実篤【さねあつ】…。
いえ、前会長…あなたにとってはお祖父様がとても愛されていたもの」
実篤―――。
久しぶりにその名を聞いたような気がする。
…白蕗 実篤
白蕗グループの名誉前会長であり、私のお祖父様。
そして、
―――お祖母様の、夫。