一期一会
 

「僕はアルフレッド」

「あ、私はイェオーシュア」

 自分の世界から呼び出されたのか、彼女は不意をつかれた形でつい反射的にそう言った。と同時に彼女の空腹の音が辺りに鳴り響いてしまう。

 それを聞いてアルフレッドが急に吹きだして笑いだした。顔が徐々に熱くなるのを感じつつ彼女が怒ってみせる。

「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃない!」

「ご、ごめん、でも可笑しくて……」

 そう彼が腹を抱えながらなんとか彼女をなだめようとする。

「もう……」

 言って彼女は少しむくれて頬を膨らませる。しかしふとそんな自分に可笑しくなったのか、彼と一緒に笑いだした。

「あー可笑しい、こんなに笑ったのは久しぶりだわ」

「僕もだよ」

「ねえ、良かったら一緒にご飯食べない?」

「えっ? ああ、いいよ。食べよう」

 それで二人は傍にある大きな切り株に並んで腰かけて、それぞれお弁当を傍らにひろげる。彼のは白飯を丸くしただけのものだ。

「おかずは?」

「えっと、作れなくて……」

「自分でおにぎり作ったの?」

「うん」

 疑問を感じたのか、彼女が聞いた。

「お父様は?」

「兵隊に……」

「お母様は?」

 この問いを聞くと、彼は黙ってしまった。

「そう……」

 肩を落とした彼女が顔を覗きこんでみる。そこに映る彼の褐色の瞳に儚げな哀しみが宿っていた。

 
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