君ニ恋シテル


「ぎゃああああぁ!徹平ー!!」

うわっ!
ちょっと!


その声で切ない気持ちは一気に吹き飛ぶ。

私のすぐ目の前にいる体格のいい子が、急に叫びだし、手作りうちわを高々と振り始めたのだ。


な、なんなのこの子は…。
フリフリのレースがいっぱいついた可愛らしい服を着ているその子は、一心不乱にうちわを振り、大興奮状態。



み、見えないっ…。
この混雑でただでさえ見ずらいのに。


私は顔を傾けなんとか見える位置を探そうと頑張る。



「愛してるー!!」

あっ!もうー!
うちわ下げてよ!


「ぎゃああーん!!!」

………す、凄い。


迫力に負け、私は頑張るのをやめた。
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