君ニ恋シテル
「すごーい!高ーい!街がキラキラしてる」

見つめる先に輝く街並み。
てっちゃんが連れてきてくれたのは、観覧車だった。


ファン旅行の時、二人で乗りたいって思ってて叶わなくて…あれからずーっと密かに憧れてた。

その夢がまさか叶うなんて…。


だけど、さっきから一言二言言葉を交わすと、すぐお互い無言になってしまって…余計にドキドキしてしまう。

何か話さなきゃとは思ってるんだけど…。


観覧車って言ったら…やっぱりあれだよね。
頂上でキス…。
って、何考えてるんだ私!
恥ずかしい…。


そんなことより、告白!
いつ言おう…。

多分、今が絶好のチャンスなのかもしれない…。

言えるかな…。
…っ、いざとなると、やっぱり怖い。



でも…

ちゃんと、伝えなきゃ…!



俯いてた顔を上げ、てっちゃんを見る。

目と目がばっちり合う。


………。


「あ、あのっ、あのね…!」

っ…声が震える。


「えっと、えーっと、その…」

あぁ!ダメだ!
全然次の言葉が出てこない…。


不思議そうに私を見るてっちゃん。



「あのっ、私ね…私、てっちゃんのことが…!」

言いかけた時、どーんっと大きな音が私の言葉を遮る。


…っ!
何?この音は?
しかもこのタイミングで…!


外に目を向けるとそこには…

「花火…」

大きな花火が次々と夜空に向かい上がっていた。


「どこから上がってるんだろう?」

「…どこ、だろ?」

せっかく決意して告白しようとしたのに…遮られてしまった。

ちょっと拍子抜け…。


「もしかして、ネバーランドからじゃない?ほら」

てっちゃんが指差す方向に、小さくネバーランドが見えた。


「あ、ほんとだ!わあーなんか懐かしいね。ファン旅行思い出す」


キラキラキラキラ。
輝く花火。
二人しばし無言で見つめる。


「…私あの時、観覧車でてっちゃんとペアになれなかったのがほんと残念だったんだ。だから…今こうやって一緒に乗れてとっても嬉しい」

…はっ!

私、何言っちゃってるんだろ。


「俺も優奈ちゃんと一緒に乗ってみたいなって思ってたんだ」

「えっ…ほんと?」

てっちゃんもそんなふうに思ってくれてたの…?


「ほんと。だからここに来たんだよ」

「…っ」

恥ずかしくて、ぱっと目をそらす。

凄く嬉しい…。
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