君ニ恋シテル
曲が始まり、優しいメロディーが会場いっぱいに響き渡る。

何度も聞いてきた優しい歌声…。
胸がじんわり熱くなる。



てっちゃんの作る曲は、どうしていつもこんなに優しいのだろう。

一つ一つの音が、胸に響く。



大きなステージ。
沢山のファンの前で歌うてっちゃん。
遠い遠い、手の届かない人。


私…ずっとてっちゃんに恋してきた。
てっちゃんが私の存在を知らない時からずーっと。



今も…

ずっとてっちゃんに、恋してる。



気付けば私は真っ直ぐステージを見つめていた。
息をするのも忘れるくらいに、引き込まれていた。



あぁ私…ほんとにてっちゃんのこと、大好きだ。



大好き…。



…っ。

どうしよう、涙が…。



「ちょっと優奈泣いてるの?」

「泣いて、ないっ…」

「泣いてるじゃないの!」

亜紀ちゃんと百合香ちゃんに驚かれようが、流れてくる涙を止めることはできなかった。




今までの思い出、全部が溢れ出す。


ねえ、てっちゃん。
ほんとにほんと?私のために歌ってるの?


この曲を…。







「ありがとうございました」

曲が終わると、てっちゃんは観客に向かいお辞儀をした。


鳴り止まない拍手と歓声の中、私は一人胸がいっぱいになっていた。




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