ナンパ男との恋3

「いけない、いけない!
こんな事考えてる場合じゃないんだってば!」


そうだ、ダラダラと悲劇のヒロインにひたってる場合じゃない。

真新しい匂いの残る
一人で住むには広すぎる家で

目を覚ますように、
自分で自分に言い聞かせながら
両手で自分の頬を パチンと叩き
気合をいれると、

携帯を手にとった。


かけた先は・・・


「もしもし?春菜?」

「あ、お母さん?
ごぶさたしてます・・」

「ほんっと、電話しても
でやしないしね?
かけなおしてもこないし?」

「すいません・・・・」


張り詰めてた気持ちが
一気にときほぐれるような
不思議な安心感・・・。


「で?」

「で?って・・・?」

「春菜の事だから
用がないとかけてこないでしょう?」

「それは・・・
そうなんですが・・・
その・・・
非常に言いにくいのですが・・」

「どうせ
お金のことじゃないの?」

う・・・

さすが・・・
母親というものは
不思議な能力を兼ね備えているようで
お見通しみたいだ・・。

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