十†字†路
救いたかった少女。
救えなかった少女。

後悔と苦悩の肖像。
幸福と安らぎの象徴。

マヨイ…
君の笑顔が…

「よし、君でいいか」

自分で頷く。何回も。
覚悟を決めた。
例えコレが…
彼女を救う事が…
ワタシの最後になろうとも、構わない!

「君を救ってあげるよ」

微笑みながら言う。

不幸な彼女は似ていた。
不運な彼女に似ていた。

マヨイ…
ワタシの妹に…

だから助けよう。
マヨイの様に、不運な娘がこれ以上不運にならないように。

このチカラを使って!

「ワタシは不幸な人を救うチカラがあってね」
「あの…」
「不幸な君を救いたいんだ」
「いや…」
「どうだろうか?」
「結構です!失礼しまッす!!」

走り去る不幸少女。
そして、
置き去りにされたワタシ…



◆ ◇ ◆



やはり…

「不審者と勘違いされたのだろうな」

改めて思う。
まぁ過ぎた事は仕方が無い。

コレから彼女の身に耐え切れぬ不幸が降り注ぐだろうな…
だけど…

「救いの御手は差し延べた。ソレを拒絶したんだから…」

へし折れようが、
狂おうが、
どうなろうが…

「自業自得、だ」

そう呟いて、
駅へ向かった。

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