十†字†路
☆表十字路~第三章~

明路4・開運転機~Luck?~

◆ ◇ ◆



朝御飯を食べながら母の後ろ姿を見る。
実に楽しそうにお弁当を作っていた。

はぁ…昨日の変質者の事を言うべきかなぁ…

「随分とタメ息が多いわね、ユキ」

コチラを見ないまま話しかけられた。

「また不幸?それとも…」

クルッとコチラを振り向き、笑顔。
爽やかな笑顔で…

「気になる男の人でも出来たのかな?」

見当外れの事を言った。
いや…気になるといえば気になるんだけどね。
なんだったんだろう…あの変質者は…

「お母さん、変質者に声かけられたことある?」
「変質者…ねぇ…。あるわ」

…やっぱり。
母は美人だ。
美人だがどこか抜けている。
おっとり…というか…
癒し系?

「助けてあげるよ的な事を言う変質者にあった事は?」
「あるわよ?ちょうど20年前かしら」

昔の母は、もっとおっとりしていたらしい。
自分が守らないとホントにどうなるかわからない、
父が笑いながら言っていた。

…ん?20年前…?
20年前って言えば…

「ねぇお母さん、その変質者って…」
「えぇ、父さんよ」
「………」

まるで未来の自分を見ているようで…絶句した。
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