夢の続きで逢えたら

しばらくすると、

父さんが顔を真っ赤にして帰ってきた。


「おかえりなさい」

「ただいま」

「もう、また飲み過ぎですよ。それでどうしたの?嬉しそうな顔して」


母さんが紅茶をすすりながら、上目づかいで父さんを見る。



どうせあのことだろう…



「いやぁ、今日は良いことをした!電車でハリネズミみてぇな若い男が女と喧嘩してたもんだからよ、父さん説教してやったよ!」



ほら。


父さんは椅子に腰掛け、

ネクタイを緩めながら、機嫌よさげだった。


「あら、やめなさいよあなた。最近の若者はすぐキレるって言うじゃない」

「なぁに、少し人生のアドバイスを言っただけだ。そしたら俺に頭下げておとなしく帰ったよ」





…その現場にいた僕は、父さんが大分話を誇張していることはわかっていたが、

テレビを観ながら聞こえていないフリをした。





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