夢の続きで逢えたら

でも…


今日の僕は違った。


人は、

「ドラマじゃないんだから」

って言うかもしれない。


「なにカッコつけてんの?」

と言って笑うかもしれない。



でも、それでも構わない。


夢はこんなにも突然にやって来る…


才能やセンスなんていらない。

熱い想いが近づけてくれる。

そんな夢。




気がつくとそこには、

僕と片付けを終えた彼女の二人だけしかいなかった。

「ありがとう。また来てくださいね」

そう微笑んで、彼女は軽くお辞儀をした。


胸が熱くなるのがわかった。心臓が張り裂けそうだ。


「待って。君、名前は」



少し間を置いて彼女が答える。




「うたの。詩人の詩に、野原の野で、詩野。よろしくね」



僕は無言で去り行く彼女の後ろ姿を見つめ、

そのままもう一度静かに目を閉じた。



微かに残る彼女の歌声が、

夜空に響いて僕の胸を締めつける。









やっと見つけた僕の夢。








『詩野』という僕の夢。




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