その手で溶かして

「今も……もしかしたら、もっと前から真雪のことが好きかもしれないんだ。でも、確信がない。だから、まだ真雪に好きだとは言えないけど、好きになるよ。だから、真雪も俺のこと好きになって。」



そう言いながら、遠藤君は自分の胸の中に私の体を引き寄せた。



「ちょっと待って。」



私は遠藤君の体に触れる前に、足に力を入れ、遠藤君を見上げる。



「ん？」


っと首を傾げる遠藤君は、やはり背が高い。



「私には遠藤君の言っていることがよくわからないわ。」



「いいんだ。ただ、俺のこと好きになってくれればそれでいい。」



次に引き寄せられた時、私が抵抗しなかったのか、遠藤君が先程より力を入れたのかわからないけれど、私の顔は今遠藤君の胸の辺りに埋まっている。



「真雪。柔らかい。」



私の背中に両腕を回した遠藤君は私の肩に顎を乗せる。



確かに心地良い。



抱きしめられるとはこんな感覚だったと私はまた遠い記憶を思い出していた。