その手で溶かして

「家に連絡しなくても平気?」



「遠藤君が一緒なら大丈夫。」



ウミの一声で、カラオケ店の前で屯していた人達がぞろぞろと動き出す。



いつの間にか、ナオの手はウミの腕に絡み付いていた。



「なら、俺達も行こうか。」



「えぇ。」



繰り返し繰り返し変わらぬ日々を送っていた私の生活に突如訪れた違和感。



遠藤君と関わったせいなのか。



それともこうなることは決められていたことなのか。



私は心だけを置き去りにしたまま遠藤君の横に並ぶ。



これ以上、この胸が激しく音を鳴らさぬよう願いながら。


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