その手で溶かして

まだ、外で過ごすには寒すぎたかもしれない。



人気の少ない広場のベンチに腰掛けている私に、容赦なく冷たい風が吹き付ける。



いつの間にか空になっていたお弁当を片付け、私は足早に校舎の中へと逃げ込んだ。



すると、鞄の中でブーブーっと、携帯電話が振動する。



最近、よく使用するようになった携帯電話。



決して、機械が好きになったわけではない。



ただ、使用しなければいけないのだ。



携帯電話を開くと案の定、そこには一件のメール。



いつものように、こんな私へのお誘いだった。
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