゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。

*歩く人々


 深夜散歩は、この

ごろのブタ達の楽し

みである。

 ふたりして、塀の

上を歩いたり、沈黙

している表札を読み

あげたり、ちかちか

ときれかかった街灯

を地図に記録したり

、ゴミ拾いをしたり

なぞをしたりした。

今日はブタの貼り紙

はがしである。『こ

の人物を見たら110

番』なんていう、特

徴や似顔絵の書かれ

た紙を電柱や壁から

とりのぞいていくの

だ。思いのほかたく

さんあって、ぶるっ

ているふとっちょの

背を、妖精はバンバ

ンたたいた。

「今はもう目撃され

てないんでしょ?」

「うん、たぶん。こ

の時間帯しか歩かな

いようにしてるか

ら。でも春先はとこ

ろかまわず歩いてた

からなあ……」



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