殺し屋M

Mは、ゆっくり音を立てずに屋上に上がった。


サユリは屋上に上がる階段から頭だけ出して様子を見ていた。


Mからここで待てと言われていた。

街の灯り以外は灯りは無くかなり薄暗い中で谷川謙二ことタニケンは素振りを繰り返していた。


Mは、タニケンのすぐ後ろまで歩いて行った。


タニケンは人の気配に気づきハッと後ろを振り返った。


「誰だよ!」


タニケンは大きな声を出した。


Mは、それには答えずに更に近寄った。


Mは、ブーツ用の長い靴紐を出した。タニケンは後退る。


最も丈夫なブーツ用の靴紐で長さもかなりあった。


Mは距離を詰める。


タニケンは屋上のフェンスの所まで、後退った。


ブーツ用の靴紐が怖いと言うよりMの放つ殺気を感じたのだろう。



タニケンは、持っていたバットを振った。


脅しのつもりだろうブンと音を立てて空を切った。


Mは、全くそれには動じず更に近付いてタニケンの首に靴紐を、かけようとした。



タニケンは、思い切りMを突き飛ばす。


タニケンは一メートル八五センチは超える長身で体重も百キロ近くある。



それに対してMは、シークレットブーツを履いて一メートル七十センチくらい体重は五十キロくらいだろう。


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