執事と共に賭け事を。
実際、乗り込んだ船はすばらしいものだった。

客が歩く廊下のほとんどが絨毯に覆われ、シャンデリアがきらきらと音を立てていた。

甲板も、景観が損なわれないよう計算された造りになっており、雄大な海が一望できた。

乗客にはドレスコードが義務付けられ、常に上品な服装をした人たちとすれ違う。

恵理夜ですら、普段のセーラー服から、白のブラウスに黒のワンピースと、落ち着いたお嬢様らしい服装になっていた。


「なんだか、すごいところに来てしまったみたい」


ただの学生が来れるような場所ではなかった。


「なぁに、恵理夜なら心配いらない」


祖父はお世辞でもなくそう言った。

そう信頼してくれる気持ちが嬉しかった。
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