執事と共に賭け事を。
そこには、主に絵画などの芸術品などが飾られていた。


「賭けの景品さ。中には、戸籍やパスポートなんかもある」


恵理夜は、きな臭さに眉をひそめた。


「まず、あそこに自分の賭けに出すものを置いていく。そして、それに見合ったチップが渡される仕組みさ。自分のものを取り戻して、なおかつ他のものを手に入れるには最初のチップを最低でも3倍にしないといけないけどね」

「まるで別世界の話ですね」

「そんなことは無い。ここに入る権利ですら、上の階である程度のチップを手にしたものしか得られない」

「つまり?」

「上の階での成功者だけが、ここでの勝負を許される。ここにいるのは選りすぐりのツワモノばかりってことさ」


恵理夜は、チップを求めた祖父の目的を理解した。
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