執事と共に賭け事を。
「嫌な、予感がするのよ」


恵理夜は、怯えをにじませながらも射抜くような目で春樹を見つめた。

だが、それ以上に春樹の目は鋭かった。


「見なくてもいいものを、見ることになります」

「わかってる」


春樹は首を振った。


「大旦那様に、意見することになりますよ」


恵まれた環境で、恵理夜を育ててくれた肉親。

尊敬し、敬愛すべき相手。

その祖父がこれから本領を発揮するところを見ることになる。

その勇気が、そしてその祖父に意見する勇気があるのか――
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