DIA-ダイヤ-
店を出た私はまわりの人などお構いなしで、ボロボロと涙をこぼしながら歩いた。


すれ違う人達が怪訝な顔で私を見る。


悠斗の氷のような目が忘れられない。


ほとんど家にいない父がよく同じ目で私を見ていた。


まるで愚か者を見下すような目。


「そんな目で、私を見ないでよぉ…」


かすれた小さな声で呟いて、悠斗にも見捨てられるのかと絶望する。


「悠斗に捨てられたら、私、生きてけない…」


もうすぐこの世が終わってしまうような、大きな恐怖感が胸に渦巻く。


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