お願い、抱きしめて
―次の日―
「どうしたの、音くん。元気ないねー」
「うっせぇ(失恋中だから話かけんな)」
昼休み。機嫌よくオレの前の席に座って、ニコニコ話すの和真の顔が視界に映る。
機嫌が悪いオレは、和真を無視して窓の外を見るけど明るい和真の声は、嫌なくらい耳へ入ってしまう。
右から左へ流れては、話は半分残って、半分上の空。
「ちょっと聞いてる?オレの──」
「だから、うっせぇ!失恋中のオレに話かけんな!」
どうしたものか。心の中の声が、溜め込んでた分が、今になって外へ出た。
時すでに遅し。和真には失恋した事を知られて、「マジかよ」とか言われちゃって。
自分で「失恋した」とか言って、泣きたくなってきた。