お願い、抱きしめて
「音也だって恋愛経験ゼロじゃん」
「んなっ!?(こいつ…!)」
「今の話だと後輩としか見てないよ」
「そっそれって…」
ひくひくと口を右上に上がらせながら言葉を待つ。ずたずたに折れた心の欠片をすくうように、和真は最後に追い撃ちをかけてきた。
「男として見てもらえてない。つまり恋愛対象じゃない」
はっきりと言われた…。マジで…?オレは男として見てもらえてないって事なのか?
「へこむなって!」
「別に。へっ、へこんでない」
「チャンスはいくらでもある、そうだな…。まずはメールからだ。アドレス持ってんだろ?」