お願い、抱きしめて

一度体をゆっくり離し、菜子さんの白い頬に手を伸ばして…。


唇を重ねた。多分これから先何回もキスをするけど…。だけど、このキスはどこまでも永遠を誓うキス。


甘くて、気持ちが温かくなるキス。



「音也くん…」


「何?」



揺れる瞳が、オレを見つめる。朱色に染まる頬が可愛くて。肩からこぼれ落ちる黒髪は綺麗で…。


微かに動くピンク色の唇から、漏れる甘い声が胸をキュンとさせる。



「お願い、抱きしめて」



キスより伝わる気持ち。キスより温かくなる気持ち。


一つ頷いて、ぎゅっと抱きしめた──…



★END★



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