お願い、抱きしめて

窓の隙間から吹き込む風に身震いをする。


昼はあんなに温かかったのに、夜になると少し寒い。



今度はいつ会えるんだろう…。



切ない想い。ちっぽけな感情。


胸の中で止まった、溢れる事を止めてくれない好き──…


ぐるっと、机の方向へ体を向けると目に入ったのは綺麗に並べられた台本の数々。


付箋を貼った場所だけが目につく。あまり台詞はないけど、大切な作品。


誇りに思う仕事。大変で厳しいし、口ではあんなに言ってた「辞めたいです」の言葉も、冷静に考えてみれば答えは辞めたくないの一言。


ヘタレで弱虫なオレには合わない仕事かもしれない。また、逃げ出してしまうかもしれない。



それでも…辞めたくないんだ。


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