やさしい手のひら・前編【完結】
私の目が涙目になってしまって、
凌を見ると、目を伏せて下を向いている

「凌…凌…?」

「ごめん、亜美。ちょ、待って。俺、理性飛びそう」

「え?」

「俺、我慢するから亜美がいいって言うまで抱くつもりないから」

「私……大丈夫だよ…凌なら、凌ならいい」

凌は私の顔を見て

「俺が嫌なんだ亜美を大事にしたいから、俺達は始まったばかりだから…急いですることじゃないと思うんだ」

凌は真剣な顔をして、私に言った

こんなにも私を大事にしてくれる凌
我慢をさせているのかもしれないと思うと胸が苦しくなった

「我慢しなくていんだよ。私は本当に凌ならいいと思ってる」

「今じゃなくていんだ。2人がそういう気持ちになった時でいい。無理してねぇから」

凌の優しい言葉に胸がキュンとなって、
知らないうちに涙が流れていた

そんな私を見て、凌は右手でそっと涙を拭いてくれた

「亜美今日泊まって行かねぇ?」

私も今日はずっと一緒に居たいと思ったので

「うん、泊まってく」

私は笑顔で答えた



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