やさしい手のひら・前編【完結】
教室に戻り窓の外を眺めていた

大好きな凌に触らているのに、拒んでしまう
私はもう凌に触れないのだろうか

「あっ」

門の所に健太くんがいた

「先生、具合悪いんで保健室行って来ます」

立ち上がり私は外へと向かった

「健太くん?」

「おー」

「どうしたんですか?」

「ちょっと近くまで来たから。多分ここの学校だと思って。よく俺いるのわかったね」

「窓から外を見てたら健太くんがいたんで。びっくりしました」

「そっか。偶然だな」

「じゃあ俺行くわ」

「あっ、はい」

「これ登録しておいて」

健太くんは私に紙切れを渡した
中を見ると携帯番号とアドレスだった

「なんかあったら連絡して」

「登録しておきますね」

健太くんは手だけ上げて帰って行った

その時私は、凌が見ていることなんて気付きもしなかった



< 96 / 387 >

この作品をシェア

pagetop