極悪彼氏
ソファーに座ってタバコに火を着け、まだ笑ってるゲンジにライターを投げつけた。



「あの、小田切さん…。すみませんでした…」

「まだいたのか、モヒ」

「いや、俺田口っス」

「モヒだろ?」

「は、はい…」

「俺は理不尽なことをしたのか?」

「してないっス!!自分が任されたのに時間がかかりすぎてしまったのが悪かったんで…」



ほら、俺は悪くねぇじゃねぇか。



ふざけんじゃねぇぞ、夢羽。



タコみてぇに真っ赤になりやがって。



ん?



なんで赤くなってんの、あのチビ。



「モヒ、教室戻っていいぞ。悪かったな、無駄足だった」

「ゲンジさん…」

「いつものことだ。気にすんな。コタも悪気があるわけじゃねぇのよ。人として欠損してるとこばっかりなだけだから」

「そんなこと思ってないっス!!」

「泣けるね~…。感動しちゃったよ、俺。コレやるから水に流してくれ」

「コレって…」

「パチンコの景品」



甘いだろ、ゲンジ。


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