Sweet bitter
「カナ……」
「ごめんなさいっ…。あたしっ…好きなんです…!好きに、なっちゃったんです……課長のこと…」
あたしは課長のスーツの裾をギュッと握った。
ポタポタと涙が床に落ちる。
「彼女さんがいることは…分かってます。だから、せめて気持ちだけは伝えておき……っ」
あたしの言葉は最後まで放たれることはなく、課長の唇に吸い込まれていった。
優しくて、あったかいキス。
大好きな…課長のキス。
しばらくして唇が離れると、課長はギュッとあたしを強く、強く抱き締めた。
「かちょ…」
「好きだよ、カナ」
ドキンと胸が鳴った。
「好きなんだ…カナ。俺には君しかいらない。君しか…愛せない」
課長は至近距離で、そう呟いた。