古城のカラス
ゴトゴトと煩い音が耳を劈く音がずっと続いている。
約3メートルほど下に降りると、傍にいるホムラの顔さえも見えないほどに光が無い。
「どこまで行くんですか」
「地下4階」
上も高けりゃ下も低い。
今までセラが行動してきた二つの邸宅も、上は4階、地下は一階のワインセラーとボイラー室くらいしかない。
「あのクソガキは『美女と野獣』と言ったな」
声だけがする狭苦しい空間で発した声が幾重にも反響する。
「あの話は野獣となった恐ろしい容貌の男…いや王子だったかにキスをすると魔法が解けるとかいうストーリーだったな。
詳細は興味無いんで知らないが」
「父さんはファンタジーがお嫌いで」
「そんなことはどうでもいいが、俺にいたってはそう簡単に終結する話じゃない。
俺の中身は野獣よりも恐ろしく愛情があるからといって解ける呪いじゃない、本物の呪いや魔法はたかが心情で動く物じゃない。
本物と偽物をごっちゃにして例えるなんてロマンチストはうざったいな」
はは、と笑ってルークは頭をガリガリとかいた。
髪が擦れる音がしたのだ。