社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「またの来店をお待ちしております」





初恋もまだならタイプも分からない私はどんな人を好きになるか想像すらつかなくて、だけど私には拓斗さんという旦那さんが居るから隣には拓斗さんが居る?


いやいや、それは違う。


私はぷるぷる頭を横に振りながら呟く。





「拓斗さんは違うよ…」





拓斗さんには大切な相手がいる。


拓斗さんとお揃いのペアリング――、結婚指輪をつけるのにとても相応しい人がいる。


歩きながらショーウインドーにうつる自分の姿に私は視線を向けた。


まだまだ見た目が幼い私。


だけど私もいつかはとても好きな人ができてペアリングや結婚指輪を嵌める日がきっとやって来るはず。


そんな時が私に訪れる事を信じて私は待ちたい――…






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