社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



本当はそんな事は言われていない。


お互い面倒だろ?って言われるのがもう嫌で拓斗さんに朝ご飯を作っていいですかと聞けないだけ。


でも毎朝拓斗さんは朝ご飯を食べないのは本当。





「それなら愛妻弁当は?」

「あっ、い、愛妻!?」





自分の顔がどんどん赤くなっていくのが分かる。





「なにを照れてるの?」

「愛って…」

「愛はどうでもいい。それで作ってあげてる?」





お母さんにそう聞かれ私はゆっくりと人差し指を立てた。





「一回だけなら」





一回というのはあの日、お弁当箱がなくたっぱに入れて飯田コーポレーションに届けに行ったあの日の事。


せっかくその帰りにお弁当箱を買ったのにそれ以降は…



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