社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



もしも私が逆の立場だとしたらきっと凄く不思議に思ってしまう。





「パートする事認めて下さい」

「分かった。優子の気持ちはよく分かった」





えっ?


私は顔を上げた。





「じゃあ…!」

「だが、言ったはずだ。俺は働く事は絶対に認めないと。この気持ちはかわらない」





そう冷たく言い放った拓斗さんは私の身体を離し、すたすたと扉の方に向かって行く。





「拓斗さん?」

「……」

「待ってください…!どこに行くんですか」





拓斗さんを呼び止めようとしても立ち止まらなくて、私の方に振り返ってくれなくて。


どうして…?


バタンいう音が聞こえた途端なんでという気持ちがいっぱいで涙があふれでてきた。



< 598 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop