社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「マンションでも言ったように娘とショッピングする事が私の夢だったの。その夢が叶って私の人生に悔い一つもないわ」
お義母さん…
人生に悔い一つもないなんて。
「これであの世に逝けるわ」
「お義母さん…。やめてください」
「優子さん?」
「縁起でもない事を言わないで下さい。そんな悲しい事は」
まだお義母さんはそんな歳じゃない。
その言葉を使っていいのはあと数十年後くらいじゃないと駄目。
「そうね」
「はい」
「まだ死ねないわ」
もう当然ですよ!
「孫を見ていないもの。まだ行けないわ」
「孫…?」
「拓斗と優子さんの赤ちゃんのそうね、結婚式を見るまであの世に逝けないわ」