天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
事実、天候を操る少女も黒部の双子も、いまだ気絶したまま。

意識を取り戻したのは龍太郎だけだ。

(技術は未熟、精神の鍛錬もなっていないが…)

翡翠がニヤリと笑う。

笑わずにいられるものか。

(俺の剣を受けて、僅かな時間で目を覚ますとは何という頑丈さ)

フルボッコの異名は伊達ではない。

普段から人外や神様や超常の力の持ち主達に、毎日のように暴行を働かれているのだ。

翡翠の剣術とて、たった一撃程度では龍太郎を完全沈黙させるには至らないという事。

「面白い」

「…俺もだぜ、翡翠先生」

両者の間の『気』が大きく膨れ上がる。

周囲で見ている生徒達が息苦しくなるほどの殺気、そして圧迫感。

夕城 翡翠の本気が、見られるかもしれない。

その『気』に。

「…………!」

木陰で寝ていたレーヴまでもが、思わず目を覚ます。

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