ゴブリン! ゴブリン!
14.天網恢恢、疎にして漏らさず


 あなたは、このタイトルの意味を知っていますか?
 「天の網は広大で目があらいようだが、悪人は漏らさずこれを捕える。悪い事をすれば必ず天罰が下る」という意味です。
 その天罰を下す為に、シックス君は人間の村の中央にある、広場に特設されたステージで、モッコリと視線を戦わせていました。


 そしてビシーッと人差し指を差して、断言します。
「てんもうかいかい、そにして……そにして、ナニして――えーとぉ、なっだったっけ? ラムラム……」
 天網恢恢、疎にして漏らさず、と言い切りたかったんですが、チークンに習った言葉を忘れた為に典型的オオボケと化してしまいましたね。
 ……カッコワルゥ~……。


「てん、もうカイカイ、もうもうカイカイ、ナニしてアレしてアッチ向いてコッチやって、ポイ……だっけ? どうだ? モッコリ・チンポー(以下略)」
「わざと間違った上に、省略すなべっ!」
 モッコリノリツッコミ(続けるとスゴイ響きだなや)です。


 特設ステージの周りには、怯えた様子の村の住人や、ワルノリしている傭兵達、そして一角に柵に囲われて、青いリン族の一般ゴブ達が、思い思いに喚声を上げています。

「あれはゴブ・ラ・トンガ・シックス殿下ではないか!」
「私達を助けに?!」
「し、しかし、あの頭のレインボー下着は何だ?!」
「へ、変態?」
「し、失礼だぞ、仮にも王子様なんだから」
「じゃ、もう決定だな。変態王子だあ~(爆)」
「や~い、変態王子~っ」


 しーくしくしく、シックス君撃沈です。
「カワイソーな王子様だべ……(意外に同情的ですね、モッコリ)」


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