SilverBeast
「ギン、目が覚めなかったらどうしようって、ずっと心配していたんだよ?」

 ギンの後ろでウェンが言った。


「職場の方には休むって電話入れておいたから、ゆっくり休んで。……何か温かいもの、作ってくるよ」

 そう言い残してウェンは部屋を出て行った。


 二人だけ残された部屋で、ギンが何か呟き出した。


「ゴメン……ゴメン……こんな、唯をこんな酷い目にあわせるつもりじゃなかったのに……。俺、唯に嫌われたくない……俺を選んでくれなくていい。唯を抱けなくてもいい……。だから、嫌わないでくれ……離れて、いかないでくれ……」


 肩を震わせて懇願するギンに、唯は少しだけ上体を動かし、彼の頬をバシッと叩きながらはさんだ。


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