SilverBeast
羞恥
「有り難う御座いました~!」
『ラヴィング』の戸が閉まり、カランカランと軽やかな音が鳴る。
そんな軽やかな音とは裏腹に、唯の心の中は重かった。
またしても忙しかったのとシフトが合わなかったのとで、西條とはこれまで特に進展があったわけではない。
唯としては、どちらが好きか決めなければならないと思ってはいても、どちらかと進展するともう片方への罪悪感が芽生えるため、何も無い方がある意味楽だった。
だが、今日の夜はまた西條と二人だけだ。
今まで、西條とギンのことで何かしら事件があったのは、まさにこんな日だった。
何かが起こる予感がする。