閃火高遠乱舞


 日本にも海軍はある。
しかしアメリカと太刀打ちできるかと問われれば、無理だと即答する。
日本にとって、海軍はあくまで陸上戦に持ち込むための過程を担当する軍だからだ。
 今回アメリカの団長はシーザーとアルベルト。
二人は陸上戦を主としている。
が、艦隊の扱いならばアメリカのほうがそれでも上であろう。
 帝が下した結論は、無人島に誘い込むこと。
無駄な犠牲を払わないために。
 この第三次世界大戦は、環境を重視している。
それとともに、一般市民と兵を完全に独立させて考えているのだ。
一般市民と兵は別。
一般市民は傷付けてはならない。
 選択された無人島は、中央に火山があった。
それ故に温泉が豊富だが、硫黄の匂いがきつい。
漁業は盛んな付近だが、警告を出して近づかないように厳命している。
一般市民を巻き込むことはないだろう。
 アメリカ軍は、やはり陸上戦を予想していたのか、騎馬隊を連れている。
後方に弓矢の隊があり、いつでもフォローできるよう体制を整えている。
 日本は宝王子の騎馬軍を中心とし、歩兵が多い新川の軍を遊軍として配置。
林の軍はいつものように後方援助だ。
 海も火山も、今は静かだ。
嵐の前の静けさかもしれない。
天気も良好。
あえて気にすべきことを挙げるなら風が乾燥していることだろうか。
 中央で大筒に火薬を詰めている。
そこから、高らかに砲弾が天に昇った。
 開戦の、合図だった。





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