ブラッククロス
高貴な薔薇
目を開ければ一面の白…白…白…。






体の感覚がおかしいような…。





「夢…。じゃない…。」





小さな十字架を握りしめながら立ち尽くす。





出口、窓…。なんて物は存在していない…。ただあるのは白い箱。





悪寒がするのはかわりない。





ドクン!ドクン!






「っ!」
胸の苦しさに倒れ込む。





地下の遥か彼方上空…。一人の男がほくそ笑む。






「始まったか…。その血を、体を還せ…。」






掲げた銀の冷たい輝きと何語とかわからぬ詠唱を続ける鷲の瞳は…。
変わらない。
真っ直ぐ前だけを見ている。





どれほど血が流れようとも…。





顔を上げた瞳は冴えていた。





猛禽の瞳は獣の気配を取らえた。






「来たか…。お前にだけは渡さない。」






白い家にあふれでている力は…。
もはや止めることは出来ない。






炎に包まれる。







闇の王が愛しい薔薇を求めて…。





灰の山を作り出す。






「虫けらが…。」






高い笑い声は風に舞う。





声は地下には届かない。





回りの村や町は炎に包まれる。
泣き叫ぶ教会の仲間…。
人が消えていく。






恐怖は狂喜…。





戦は人の心をおかしくないする。





ゾンビがそこかしこに這いずり回り、灰が天から降り注ぐ。





ドーム状の結界に降り積もる。





ゾンビはわらわらと結界に迫ろうとし、クルセイドがそれを阻む。





倒す倒されるの繰り返し…。
歴史から人は何を学んだのか…。





歴史は繰り返す…。






鷲が天を仰いだ。
言霊が終わる…。






「ノーブルローズ…。」





高貴な薔薇は…。






ねじ曲げらた歪みから息吹を上げる。





それは…。哀しくも恐ろしい始まりにして終わり…。





闇の獣はドームの結界を破壊する。






破滅の旋律の始まり…。





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