【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
翡翠の視線の先にはいつもの凛とした部長の姿など感じさせない小さくなった男の背中が見えていた。
翡翠は自分の出した決断が正しいかなんて判断できないでいた。
翡翠の頭の中はもうショート寸前で何も考えられないでいた。
こんな時は琥珀の顔を見て琥珀から話を聞けば落ち着くのかもしれない。
でもこの日を狙ったとばかりに琥珀は遠方との打ち合わせで席を外していた。
部長室に突っ立ったまま動けない翡翠。
テーブルの上には並べられた写真が置かれたままだった。
翡翠は写真を1枚ずつ拾い集めながら初めて涙が零れ落ちたことに気付いた。
夫人の前で張りつめていた何かが写真の中の2人を見てプツンと切れたようだ。
翡翠は写真を握りしめながら声を殺して泣いた。