【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
「私が昨日どこで何してたか聞かないんだね。」
お揃いのマグカップからは白い湯気が立っている。
翡翠はマグカップに手を添えると俯きぎみで問いかけた。
「俺が怒らせたからだろ?」
琥珀は翡翠の身体を振り向かせた。
あきらかに暗いその表情に言葉が出ない。
無言のまま渡されたマグカップから漂う白い湯気とコーヒーの香り。
琥珀は乾きつつあった口をコーヒーで湿らせた。
「何してたと思う?」
「何って・・・」
翡翠の態度から明らかに聞きたくない事だと想像できた。
昨晩帰らなかったことと翡翠の態度・・・
ある程度は想像がつく。
ただ想像しているだけの間は頭の中で否定も出来る。
聞きたくない琥珀の本心だ。
「過去の清算をしてきたのよ。あんたの知らない私の過去を。聞いたら待っててほしいなんて言わなくなるわ。」
「さっきも言ったよな。俺は過去は気にしないって。昨日の事も何があっても過去だろ?」
口から出る優しい言葉のわりに琥珀の口元は確実に引き攣っていた。
「私の過去も昨日の事も全部聞いてもあんたが待てほしいって言うんなら・・・」
翡翠は言葉を飲み込んだ。
「待ってるとでも言うつもり?」
そんな言葉が頭の中で聞こえた気がした。