【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

翡翠は立ち上がるとヤカンを火にかけた。
琥珀が求める返事をあやふやに終わらせたかった。

実際琥珀を信じきれなかった事が昨夜の事の発端で、翡翠を待ち続けている琥珀を承知で違う男の腕の中にいた。

今の翡翠には何があっても琥珀を待ち続ける自信よりも琥珀に対する罪悪感でいっぱいで琥珀の顔すらまともに見る事が出来ないでいた。

並べられたお揃いのコーヒーカップ。
琥珀がプレゼントしてくれたものだ。

翡翠は湯気の立つコーヒーをカップに注ぐと部屋をぐるっと見渡した。
気がつけば琥珀の物が少しずつ増えていた。

洗面所に並ぶ歯ブラシも、独り暮らしの女性の家には必要ない髭剃りも。
パジャマもスリッパも・・・

 「主任、待っててくれる?」

キッチンに立つ翡翠を背後から抱きしめると琥珀は翡翠の肩に顎を乗せる。
琥珀の不安が翡翠にも読み取れた。

琥珀にしても翡翠の態度は予想外の事だった。
傷つけた事は覚悟していた。
怒っている事も・・・
でもいつもの翡翠なら何があってもそばにいてくれると決めつけていた。

翡翠の態度が琥珀を戸惑わさせ不安にさせる。
まだ怒ってくれる方が修復だって手段だって何かしらある。

翡翠がどことなく冷たく距離を置きたがっていることは琥珀にも感じられた。

 


< 161 / 202 >

この作品をシェア

pagetop