【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
「主任、おはようございます。」
わざととしか思えないタイミングと琥珀の嫌みいっぱいの笑み。
琥珀の一言で周囲の好奇の視線が集中する。
「おはよう。」
普通に普通に・・・
頭の中で呪文のように繰り返しながらも、憎たらし琥珀の笑みに敏感に反応しては怒りがこみ上げる。
いつもの事。
いつもの琥珀。
わかっているつもりでも翡翠はいつものように流せないでいた。
いつの間にか最後は琥珀のペースに飲み込まれる。
「主任みんながあの後の俺たちの事気になってるらしいですよ。」
「なっなに・・・」
言ってるの!!って言おうとして言葉を飲んだ。
慌てて立ち上がった翡翠に集中する視線。
何て答えれば満足な訳??
アンタまさか全部話したんじゃないでしょうね!!
横目で琥珀を睨みつけても琥珀は愛かわらず憎たらしい顔で腕組みして翡翠の態度を楽しんでいる。
「みんな誤解してたみたいですよ主任。」
「誤解!?」
「あの後俺と主任が・・・」
琥珀がニッと口角をあげると周りに見せつけるように翡翠の耳元で囁いた。
「Hしたと思ってたみたいですよ」
周りに聞こえるような小さな声。
けして内緒話になっていないその声にも翡翠は真っ赤に反応する。
「ちょっ・・・ っちょっと」
翡翠にしてみたら意味がわからない。
琥珀の言ってることも行動も。
「な訳ないじゃんね。 俺と主任って絶対ありえねぇ!! 主任もいい迷惑だよな」
「うん」
「ほら見ろお前だ。主任に失礼だぞ」
琥珀がふたりに集中する視線を指さしたとたんフロアがざわめき立つ。
「だってな・・・てっきり・・・あの様子じゃ」
「2人して消えたしな。」
飛び交う言葉はごもっともの意見ばかりで。
反発も否定も出来ない。
なんで私がこんな奴とって言えたなら。
でもその言葉で私をかばってくれている琥珀を傷つけることにならないか。
翡翠は琥珀を気遣う自分にビックリしていた。
琥珀の態度や行動は日頃冷静な翡翠を乱していく。
「つまり誤解も解けたって訳だよな」
「すいません。主任」
「だいたい俺は年下好みだってば。」
琥珀の言葉でふたりの関係は何もなかったという嘘が事実になる。
琥珀との関係もこのまま無かったことに出来たらどんなに楽だろう。
いつもの無邪気・・・いやチャラ男の琥珀の横顔を見ながら全て嘘にしてしまいたいと翡翠は心底願った。
このチャラ男との1度きりの過ちを。