【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑


あと3歩・・・ あと2歩・・・ あと1歩・・・ あと0歩。


上司と部下でもなく、顔さえ知らない他人として目さえ合わさずすれ違う。

それが一番いい判断だと頭では分かっていても、ガクガク震える膝に締め付けられた胸では息をするのも苦しくて。


翡翠は角を曲がるとその場にしゃがみこんでしまった。

分かっていたはずなのに、ちゃんと自分の立場はわきまえていたはずなのに翡翠の瞳からは涙が零れ落ち、頬を濡らした。


私・・・馬鹿だ。


愛してなんていない。

ただ利用するのにちょうどよかっただけ。

地位と名誉と寂しさを埋めるだけの関係。

そう思いたかったのは自分。

そう思う事で傷つくことから逃げたかっただけ。


部長にわがままさえ言えなかったのも、愛してないからじゃなくて終わるのが怖かったから。


隠して逃げていた感情があふれ出す。
でもどうしようも出来ない現実に直面したばかりだった。


翡翠に見せる笑顔とはほど遠い男の笑顔は、夫であり父親の愛情をひしひしと感じさせるものでその笑顔の先に自分がいない現実を目の当たりにしていた。

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