【短編】阿呆と馬鹿の関係
トイレから出ると、柚木が女の子を見上げて話しているのが目に入った。
誰だろ。
近付くにつれハッキリ見えてくる顔は、とっても美人さんで。
思わず立ち止まってしまった。
女の子が、あたしに気付くと柚木がゆっくりと振り返った。
「おぉ、瀬名」
「あ、央太の彼女~?」
「うん」
聞かれて即答した柚木の態度に、恥ずかしさと嬉しさが交差した。
けど。
央太?
おうた?
オ ウ タ ?
呼び捨て?
誰、この人!?
鞄を握る手にグッと力が入る。
「はじめまして~」
ニッコリ笑った顔が、あまりにも綺麗で。
「は、はじめまして」
あたしも笑って挨拶し頭まで下げてしまった。
一瞬沸いた嫉妬心なんて簡単に消えてしまう、弱いあたし。