ヴァイブ
「じゃあ、友人代表の言葉ヨロシク。」

ポンと私の肩を叩いて、琴子は親族のみの写真撮影をしに行く。


友人代表なんて…本気で照れくさかった。

大体、何を言えばいいのかわからない。

その話しをされてから、毎日、紙にお祝いの言葉を書いてはその紙をぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱へと投げていた。



玲二に相談したら

「思う様に言え。」

とわかりきってる一言。

それを悩んでるから相談したのに。

とふくれながら、白紙のノートとにらめっこをしていた。


あれから、玲二の家は出て自分の家に帰った。


父は、ホッとした顔を見せて

「おかえり。」

と言ってくれた。

私が家に帰ってからは、酒を飲んで帰ってくる事も少なくなって、少しづつだけど会話をする様になっていた。

今までの穴を埋める様に。


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