ヴァイブ
――…家に戻ってから、私は派遣の仕事は辞めて、

デパートの販売員の仕事を始めた。

母が好きだったと言う仕事をしてみたい。と思ったからだ。


私の持ち場は、宝石を扱うジュエリーショップだから、カップルが絶えずやってくる。


大変な事がないわけじゃないけど、

スナックで働いてた時の様に、変なエロジジィが胸やお尻を触るわけじゃないし、

案外、楽しいと思えた。



そして、このカップルもたまに私を冷やかしに来る。


「七海~。働いてるか~?」

その声に

「いらっしゃいませ。」

やる気なさげに挨拶をした。

「ん?この店員さんやる気ないよ。」

「響。うるさい。」

怒りマークを最後につけながら響に言った。

「そんな怒るなよ~。スマイル、スマイル~。」

言いながら、自分のほっぺに指を当ててニコッーと完璧な営業スマイルを私に向けた。


私は、引きつりながらニッコリスマイル。

「まだまだだな。」

と響は、勝ち誇った様に笑った。


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