崩壊家族
その頃、三神はパトカーにもたれかかると息を吐いた。

「警部」

声をかけてきたのは、部下の柳だった。

「どうした?」

「山村のことなんですけど」

そう言った柳に、
「何か、わかったのか?」

三神は聞いた。

「近隣の住民は、あまりいい家族じゃなかったと」

「いい家族じゃなかった?」

三神は聞き返した。

それはどう言う意味だろう?

「父親は会社の部下の女性と愛人関係になっていたらしく、あまり家に帰ってなかったそうです。

娘も母親とのケンカがひどくて家出。

息子は学校でいじめられて不登校、ひきこもりに。

母親も高校の同窓会以来、1度も家に帰ってなかったらしいです」

淡々と説明を終えた柳に、
「そうか…」

三神はまた息を吐いた。


☆★END☆★
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