阿鼻叫喚
この手は何の為に足首を掴むのか。
そもそもこの手は何処から伸びているのか。

この手には、手首から先が無かった。
いや、無い訳ではない。
見えないだけで、気配を感じる。
その存在を感じる。

数日後には、その手は太腿へと移動していた。
理由など解らない。

更にその数日後、今度は脇腹へと移動していた。
いい加減掴まれるのに慣れてきて、特に驚くべき事態ではなくなっていた。

それからまた数日が経ち、手は肩へと移動していた。
そこで或る法則に気付き、少し気になり始めていた。
手は徐々に身体の下から上へと移動している。
次は何処に移動するのだろうか?

不安を感じながらも、更に数日の時を経た。

しかし、その手の行方を、見届ける事は叶わなかった。

手は遂に首へと達し、既に息の根を止められていたのだから。

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