キレイをつくる保健室
「ではこちらへ」
黒沢が中へとドンドン入っていく。
なんかさ。
この執事みてると、ゆり先生のルーツが分かる気が少しはする。
「雨宮家には貴重な文化財もございますので、気をつけてくださいませ」
つまり、壊す(こわす)な、と。
「失礼ながら、ナミ様について、ゆりお嬢様から少々粗い方と聞いております」
あらいって……。
下品で、悪かったね。
執事の黒沢がナミを案内したのは、アラビア風の部屋。
壁一面に青いトルコのタイルがはってある。
ソファーは深緑でフカフカだ。身体がしずむくらい、フワリとする。
間接照明のランプは古くて繊細なガラス細工で出来ている。植物を描いたもので、その半月の傘から漏れる明かりは柔らかい。
柔らかい照明の明かりに、幻想的に照らし出される人の姿。
このソファーに、ひとりの男性が座っていた。