龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「何の騒ぎだ?」

圭吾さんだ。

「僕の土地で勝手な真似をされては困る」


うわぁ

言い方は物静かだけど、かなりご立腹だわ


「こちらも困るのですよ、羽竜さん」


黒服の一人が言う。


命知らずね


「ご家族が増えたなら言っていただかなくては」


「君達の職務は重々知っているが、僕の家の事情をいちいち説明する気はないね。この娘(こ)は志鶴。僕が後見している娘だ」

圭吾さんはそう言って、わたしの肩を抱き寄せた。


「以後、敬意をもって接してくれ。写真はなし――請求書は僕に回してくれ」

圭吾さんはデジタルカメラを返すと、わたしを連れてすたすたと玄関に向かって歩き出した。


なんとなく違和感があって足元を見ると、圭吾さんは靴下で歩いていた。


「圭吾さん、靴は?」


「ああ……急いでいたから」


またドアを使わなかったのね?


『うわっ カメラが壊れている!』って後ろで声がした。

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